自宅のメンテナンス

一戸建てを持つならメンテナンスについて理解しておこう

マイホームを購入したら、出費は住宅ローンだけと考える方は多いかもしれません。しかし、それは誤解で、家は築10年を過ぎたあたりから、徐々にさまざまな箇所にメンテナンスが必要になってきます。
一戸建て住宅で最も多いのが木造住宅ですが、住宅の性能も向上しているので、耐久性を持つ住宅も増えてきました。
しかし、居住者全体で計画して修繕工事を行うマンションや、大家さんが管理する賃貸住宅と異なり、一戸建ては所有者がすべて管理しなくてはなりません。所有者自身が主体性をもって維持管理・メンテナンスを行う必要があります。
維持管理・メンテナンスを定期的に行うことで木造住宅でも50年以上使えるため、きちんと管理したいものです。
そこで、今回は一戸建ての維持費やメンテナンスのタイミング、自分でもできるメンテナンス方法についてご紹介します。

一戸建ての維持費について

一戸建ての維持費は物件の種類や広さなどの条件によって金額が大きく変わりますが、年間30~40万円といわれています。大きく分けて税金、修繕費、保険の3項目です。

税金

賃貸とは異なり持ち家には固定資産税や都市計画税がかかります。固定資産税とは家や土地にかかる税金で、評価基準に照らし合わせて課税され、築年数によっても変動があり、一戸建ての場合、年10~20万円かかるといわれています。
都市計画税は道路建設や上下水道の整備を目的とした税金です。持ち家の所有者すべてが払うのではなく、市街化地域に該当する人が納めます。相場は年2~3万円です。家を建てることを考えているなら、候補となっている場所が市街化区域かどうかチェックするといいでしょう。インターネットや自治体窓口で確認できます。

保険料

一戸建てを購入したら火災保険に加入するのが一般的です。一戸建て購入時に多くの人が利用する住宅ローンの借り入れ条件に火災保険が必須になっているからです。
火災保険は10年補償で10万円前後が相場になっています。火災保険は火災や落雷などの災害、盗難や破損などを補償しますが、地震は含まれません。地震や津波などを考えると地震保険の加入も考えておいたほうがいいでしょう。
保険に入ることで補償の範囲が広がりますが、保険料の負担も大きくなります。住むエリアや必要な補償内容に応じて検討するようにしましょう。

修繕費

一戸建ての場合、自分で計画的にお金を貯めておき、定期的にメンテナンスやリフォームしなければなりません。

メンテナンスのタイミングと費用

一戸建てのメンテナンスは多岐にわたります。例えば外壁や屋根は風雨にさらされるため、ほったらかしにしておくと雨漏れや木造住宅だと中の木材が傷む原因です。
内部に目を向けてみると壁紙に傷みが目立ち始めたら張り替えの対応が必要ですし、水回りも一定期間が経過すると腐食やサビの原因となります。

外壁・屋根

外壁のメンテナンスは塗装やシーリングの打ち換えになります。また、木部や鉄部の塗装も必要です。外壁の材質によってメンテナンス時期が異なります。

  • モルタル・窯業系サイディング:10年程度で塗り替えが必要
  • シーリング:5~10年の間に打ち換えが必要
  • 鉄部や木部の塗装:5年周期で必要

屋根については材質により塗装や葺き替えといったメンテナンスが必要です。屋上の防水工事が必要なケースもあります。

  • 瓦:10~20年程度で葺き替えが必要
  • 防水工事:10年ごとに防水シートの交換が必要
  • 雨どい:10年で点検し20年を目安に交換

他にも材質によって異なります。かかる費用は外壁だと80~100万円、屋根は40~80万円ほど。一戸建ての外装の場合、15年に1度のタイミングでメンテナンスが必要なことを頭に入れておきましょう。

内装(クロス)

クロスは10年程度で壁紙が剥がれてしまう場合があります。特に結露が多い箇所だと10年より早くはがれてしまうことは珍しくありません。かかる費用は40~50万円。

水回り

水回りのキッチンは長く使うことで、サビや腐食によって水漏れの原因となります。トイレは比較的頑丈ですが、タンク内のレバーや鎖が劣化してしまうので、タイミングを見て交換が必要です。
お風呂や洗面所も10年ほどすると傷みが出てきます。室内の水回りは10年を目安に交換したほうがいいでしょう。
水栓・配管だと50~100万円ほど、キッチンや洗面台、トイレ、給湯器などもそれぞれ数十万円の費用がかかります。

床下はシロアリを防ぐために防蟻処理を一定周期で行わなければなりません。およそ5年程度をめどに防蟻処理を行いましょう。あわせて床下点検を行うと効率的です。
およそ20万円になります。

いつ、どのような修繕が必要になるか考えて、計画的に資金を用意しておくことが大切です。

自分でもできるメンテナンス

新築であっても、中古であっても、気持ちよく暮らしていくために日ごろから自分でできる範囲の手入れはしておきたいものです。

フローリングの場合、水は厳禁。水などをこぼした場合、放置せずすぐに拭き取るようにしましょう。塗れた雑巾をそのままにしておくと、水分が木に染み込む恐れがあるので、避けてください。
普段のお手入れは、表面に使われている素材や塗料によって変わるので、間違ったお手入れで傷めないようにすることが大切です。基本的には掃除機をかけて乾拭きで十分。水拭きをするなら雑巾を固く絞って使います。
フローリングの塗装の種類は、大きく分けてオイル塗装とウレタン塗装の2つです。
オイル塗装は木の表面に植物性オイルやワックスなどの油分を浸透させた塗装で、無垢フローリングに施されていることが多いもの。水分やクリーナー成分がしみこみやすいので、水を使った掃除には向いていません。もう一つのウレタン塗装は木の表面にUV塗装や樹脂を使用した塗膜をはった塗装で、水拭きやクリーナーを使ったお掃除も可能です。

普段はハタキがけ程度の掃除でよいのですが、クロスが部分的に汚れてしまったときは、固く絞った雑巾で水拭きを。それでも落ちなければ住居用洗剤を雑巾につけて軽くたたいて落としましょう。注意点としては強くこすってしまうと壁紙がよれたり、破けたりなど、傷の原因となります。水拭きをした場合、水分が残らないように、乾拭きするように。
クロスがはがれてきたときは、小さいはがれなら、市販の壁クロス用の接着剤で補修可能です。はがれた部分にホコリやゴミがついていないか確認しながら作業しましょう。

水栓金具

最近の住宅では、シングルレバーの混合栓が一般的です。このシングルレバーの混合栓は、やや複雑な構造になっているため、水漏れなどが起こった場合、自分で直そうとはせず、メーカーや水道屋さんに頼むようにしましょう。混合栓の部品を交換すれば直るケースがほとんどなので、修理自体もそれほどかかりませんが、メーカーによって部品の形状や取り出し方が異なります。修理を依頼する場合、水栓金具のメーカーや形状を伝えるとスムーズです。
応急処置で漏水を停めたいなら、とりあえず止水栓を閉めましょう。

排水管

排水管はつまってしまうと大変厄介なので、普段から髪の毛やゴミ、油をできるだけ流さないよう心がけましょう。定期的に掃除するようにしてください。
キッチンの場合、毎日の調理で発生する食材の切れ端や油、後片付けの際に出る残りものによる汚れなどが流れ込むため、常に汚れやすい環境といえます。目に見える汚れやごみを取り除くことはもちろん、排水管のメンテナンスにも気を配り、つまりを防ぐようにしましょう。ニオイやつまり等の症状が出ていない場合でも、頻繁に掃除しておくことで排水管やキッチンそのものを長持ちさせることにつながります。
浴室の場合、排水口にたまった髪の毛を取り除くだけでも効果があります。お風呂上りに排水口に触ることに抵抗がある場合、あらかじめビニール袋を用意しておくといいでしょう。髪の毛やごみを毎日取り除いていても、石けんカスや皮脂汚れは次第に入り込んでくるので、週に1度は排水口を洗浄するといいでしょう。

外壁のメンテナンス

外壁のメンテナンスを定期的に行う場合、業者に依頼するとコストが高くなってしまいます。このような場合、DIYでもある程度洗浄は可能です。もちろん、DIYの洗浄だけでは十分といえないのですが、本格的なメンテナンスまでの期間をある程度伸ばすことができるため、長期的なコストを抑えられます。
DIYの洗浄は、基本的に外壁に汚れが見られた場合に行うのが望ましいのですが、立地によってタイミングが異なります。幹線道路沿いなら排ガスによる汚れがつきやすいため、半年に1度は清掃したほうがいいでしょう。汚れの種類は土埃や排ガス汚れ、苔、藻があり、DIYで洗浄可能です。ただし、土埃や排ガス汚れは水をかけてブラシがけをすればキレイになりますが、苔や藻、重度な汚れは高圧洗浄機や外壁用洗剤が必要になってきます。
高圧洗浄機は製品によって稼働時間や洗浄力が変わりますし、使用頻度の割に購入価格は高めです。そのため、業者にお願いしたほうが費用を抑えられる可能性もあるでしょう。

マイホームの寿命は、日々の点検や清掃によって大きく変わってきます。こまめなメンテナンスで長寿命化を図ることも可能です。
できるところは自分でメンテナンスすることで、マイホームに対してより愛着を持つことができるでしょう。メンテナンスコストも抑えられれば、一石二鳥です。
しっかりメンテナンスが行えている住宅は、売却時の金額も高めに出る傾向にあります。将来的に売却を考えているなら、日々の点検や清掃はしっかり行いましょう。
休日の午前中に30分でもいいので、家を見て回るだけでも、普段気づかない異変に気づくことができるかもしれません。ぜひ、一度自身の目でチェックしてみてください。